結果とプロセス

始めにお断りしておくと、これはどっちが正解という事は無くどちらも大事である事は当然の上で、しいて言うと僕の場合はこっちに重きを置いているという話です。

 

結果が大事か、プロセスが大事か。

 

僕の場合、美容師であり店長であり一人の人間です。

 

すると、それぞれ違った立場の自分がいるので、結果とプロセスどっちが大事かはその立場によって変わってきます。

が、瞬間に出る感情が本当の自分なら僕は総体的には6:4でプロセス重視派なんだと思います。

 

ただ、くれぐれも立場によって変わります。

 

例えば、美容師としての僕にとって結果とは何か?

ずばりお客様が喜んで下さる事です。

当然、「前髪切りすぎてお客さんメッチャ怒ってたけど、一生懸命頑張ったんだからいいや👍」とは少しも思いません(笑)

 

自分の大切な人が病気になって手術をしたけど医療ミスで亡くなってしまったら僕は「先生、僕の大切な人はたまたま失敗されて今回亡くなったけど、この経験を活かして次に繋げて行こうぜ!」なんて寛大な事は言えません!

訴えます!

 つまりそれはお客様の髪も同じ事ですよね。

髪って人生を左右しますからね。

なので、美容師の僕が大事にするのは9:1で結果です。

ですが、お客様に喜んで頂く為には練習や勉強というプロセスがもちろん大事ですから、 どちらも欠かせないという事になりますね。

 

次に店長としての僕にとって結果とは何か?

 これは店長の仕事と言ってもいくつかありますが、

一つはもちろん売上です。売上が上がらなければ店の存続も厳しくなり、結果、リファインを気に入って下さっているお客さんをカットして差し上げられる場所も無くなってしまう、そしてスタッフを路頭に迷わせてしまう。

最悪の結果です。

なので、この場合の僕は8:2で結果を重視します。

以前の僕は6:4でした。

4というのは「成功は失敗の延長にある」という考えが強かったからです。

もちろんこの考えは「ある面では」間違っていないという確信は今でもあります。

これを読んでいる方も普段の生活で何か失敗しても、それを次に活かして行けば決して無駄な失敗なんて無いと思うんです。

 

でも自分以外の人にはそう言っても、お客様・スタッフ・店・…色々な事を考えた時にもっとシビアに行こうと考え直し始めたんです。

 

ただ、僕が今でも信念を持っている事があります。

それは、スタッフが提案した企画は「まずやってみる」という事です。

その結果いまいちでも次に繋げてまた新しい事をやっていけば良いと思っています。

もちろんコストは考えた上で、ですが。

 なので、考えが8:2になっても残した2はスタッフの意見を尊重するという事です。

 

店長としての仕事にもう一つ、スタッフの教育があります。

これは、僕がもっとも力を入れている仕事の一つであり、世の中の美容師に色々な得意分野があるなら僕の場合はここが僕の生きる道だと思っています。

 

ここに関しての僕の結果とプロセスの割合は、ずばり9:1でプロセス重視です。

僕はスタッフの失敗という「結果」をほとんど怒りません。(くれぐれもお客様の髪の失敗の事ではありません。美容師も事務処理などが沢山ありまして)

 

あ!注意はします!

 

僕が失敗を怒らないのは、

①本人は十分わかっている

②失敗したくてしたわけではない

③次にどう活かすかが大事

からです。

 

ちなみに僕は寝坊もよっぽど続かない限り怒りません。

スタッフが自主的にどうすれば良いか考えるのを待つ、もしくは一緒に考えます。

罰も与えません。

それより良い事をした時に誉めてあげたいと思っています。

でも「やる気が無い、考えない、報告連絡相談が無い、やり方が悪い、努力してない」事に関してはかなり厳しくしています。

怒りすぎて泣かせてしまう事もよくあります。

 

僕がこのスタンスでいるのは一口に「人間教育」を第一に考えているからです。

これが正しいかどうかはわかりません。

余計なお世話かもしれません。

でも、少なからず縁あって一緒に働いた仲間だから美容師としてだけじゃなく人間としても成長させてあげたいと思っています。

 

また、美容師の教育には避けて通れない「技術レッスン」があります。

どの美容室も入社してまずはシャンプー、次にブローとかカラーとかパーマとかあって最後にカットと、全てそれぞれの技術テストを受けて合格したらその技術に一つずつ入っていけると思います。

 

実は最近、あるスタッフとテストの合否で少し揉めたんですが、

 「テストの結果がたまたま良くても、それはウィッグ(美容師が練習する人形)だからたまたま合格したんであって、やり方が悪かったら人間の髪では上手くいかない」という僕の考えです。

それに対してそのスタッフが「やり方のテストじゃないんだから結果が良ければ良い」と言っていました。

一理、いや、二理、三理ある意見だと思います。

今回のブログの最初に戻りますが、正解は無いんです。

だからおもしろいんです。

そのスタッフの意見もとても勉強になります。

でも、僕は自分の考えを絶対に曲げませんが。

 

そのスタッフの「未来」を考えたらプロセスこそ大事だと思っています。

 

そこで、そのスタッフにこう言ったんです。

「もし背面でカットしてメチャメチャ綺麗に切れてたらおまえは合格にするか?」と。

そのスタッフは「する」と言っていました。

それも有りだと思います。

でも、僕は例え不合格になってもきちんとした姿勢で努力する子の方が未来があると思うんです。

やっぱり技術に近道は無い。

だからこそ将来遠回りをしない道を歩いて欲しいんです。

 

長くなりましたが最後に、ご存知プロ野球イチロー選手のこんな言葉で締めたいと思います。

 

「結果とプロセスは優劣つけられるものではない。結果が大事というのはこの世界で無視してはいけない。野球を続けるのに必要だから。プロセスが必要なのは野球選手としてではなく、人間をつくるうえで必要と思う」。

「負けには理由がありますからね。たまたま勝つことはあっても、たまたま負けることはない」。

「本当の力が備わっていないと思われる状況で何かを成し遂げたときの気持ちと、しっかり力を蓄えて結果を出したときの気持ちは違う」。

 

それでも、ライオンはシマウマを狩らなければ生きていけないから、頑張って追いかけたけどつかまえられなかったよ〜では自分が死んでしまうから最後はやっぱり「結果」なんだろうな!