第2回! かずき増田のすべらない話
『お見送り』
これは僕がまだ美容師のアシスタントでリファインとは違う美容室で働いていた頃の話。
先輩美容師がお客様のカットを終え、レジでお会計をして出口のドアまでお客様を誘導していきました。
僕はその間に早々とそのお客様が座っていた席の片付けをしてドアの所に立ち、先輩がお客様を誘導して来るのを待っていました。
そして、先輩がお客様をお連れしてきたので僕がドアを開けて二人でお見送りをする。
これはどこの美容室でもよく見る光景だと思います。
更にお見送りの際にはお客様が見えなくなるまで深々とお辞儀をする。
これも美容室に限らずサービス業ではよく見る光景かと思います。
僕が働いていた美容室は直線の道路に面していた為、見えなくなるまでだとかなり長い距離になるので「10秒間くらいお辞儀をする」という決まりになっていました。
話がそれましたが、その先輩と一緒にありがとうございました!とお客様をお見送りし、10秒間お辞儀をしていると、突然先輩がこんな事を言い始めました。
「おい、増田。カットが終わって最後にお客様に鏡を見せるだろ?
で、いかがですか?と聞くと、お客様はその髪型が気に入らなくても、大丈夫です、としか言えないんだ。
だからお客様の本当の声がわかるのは、美容室を出てから歩いて帰る時だ。
その時にルンルン気分で歩いているのか、それとも肩を落としてガッカリしながら歩いているのか、それをよく見ておけ。
特に髪を触ったり直してる様子が見られたらそれは間違いなく気に入っていない証拠だ。
よく覚えておけ。」
「なるほど。勉強になります。ありがとうございます!」
と言って下げていた頭を上げたら、そのお客様がメチャメチャ髪をかきむしりなが歩いていたんです。
そりゃもうスタイリングした時の原型を留めないくらいに。
残念な先輩だわ〜